2026-06-18

TOKOWAKA

-常若-

  •  client:株式会社 島ごころ 奥本隆三社長
  •  2026年
  • 130.3㎝×48.5㎝ 雲肌麻紙パネル 岩絵の具、純金泥、純銀泥

Concept

島の宝物「瀬戸田レモン」を伝え広めるため、多方面で活動を続ける株式会社島ごころ代表・奥本隆三氏。

これは同氏の人生哲学を象徴した絵画。島をおもう心を核にしながら、学びを深め、ご縁を大切に紡いでいく真摯な姿勢。その生き方に呼応すべく、表現する素材そのものにも本物であることにこだわっています。

● 使用している画材について

使用している素材は、すべて自然由来のものです。木、和紙、天然岩絵の具(ラピスラズリ、アズライト)、天然鉱物(純金、純銀)など、地球上で循環するもの、永遠に輝きを失わないものを使用しています。

● 師:平山郁夫氏へのオマージュ

背景の青色は、奥本氏が生き方の師と仰ぐ生口島出身の画家平山郁夫氏にちなんだ顔料を使用しています。芸術を通して世界平和を訴え続けた平山氏。同氏が描く青は「平山ブルー」と呼ばれ、ラピスラズリやアズライトといった天然顔料を何層も重ねることで、神秘的で深い群青が生み出され壁画に残した群青が、数百、数千年を経ても、今なお色鮮やかに残っていることに深い感銘を受けました。

「私の群青は、ただの青ではない。そこに人間の悲しみや祈り、そして生命の尊さをすべて溶かし込んでいる」

(※平山ブルーの技法自体は門外不出であるため、本作ではあくまで同じ天然原料を使用してその精神を表現しています)

●核:木であり花であり太陽のようなもの

中央に描かれた円形の紋様は、「奥本隆三ブランド」の象徴です。大地に深く根を張る樹木や花のようでもあり、すべてを照らす太陽のようでもあります。

この円の模様の中には、「隆」の字(篆刻文字)が描き込まれています。(「生」に部分とそれ以外の部分に分けて描いています)

また、軸が非常に繊細に描かれているのは、人と人との「縁」が持つ儚さ(だからこそ尊い)を表しています。その中にある小さな紅い点は、奥本氏の経営哲学の師、アシックス創業者・鬼塚氏の「キリモミ(一点に集中的な攻撃を加え、そこを攻略し、また次の一点を狙う)」を象徴しており、奥本氏の内に秘めた情熱と突破力を表しています。

● 根としての地図、そしてレモン

木の根は、地表に見える枝張りの1.5〜3倍にまで広がると言われています。奥本氏がこれまで紡いできた大切なご縁を、縁の深い土地の「地図」として根に見立てて表現しました。金色の線で描かれているのは、「島ごころ本店」がある瀬戸田と、「銀座島ごころ」がある銀座。銀色で描かれているのは、レモン文化を学んだイタリアの3つの聖地(シチリアカターニア、アマルフィ、リモーネ・スル・ガルダ)の地図と各地のレモンです。

● 方位磁石、ラクダ、ウミネコ

  • 方位磁石: 「銀座島ごころ」と「歌舞伎座」の地図上に配置されています。銀座島ごころが未来を指し示す羅針盤となること、そして歌舞伎座のように「唯一無二の本物」であり続けるという誓いを象徴しています。
  • ラクダ: 瀬戸田レモンを世界へ届けるという志の旅をする奥本氏の姿と、平山氏が描き続けた「シルクロードの旅」の風景を重ね合わせています。ラクダの足元に伸びる根のような影は、よく見ると「生」という文字を形作っています。
  • ウミネコ: 瀬戸田の空を舞う二羽のウミネコはパートナーと二人三脚で歩まれる様子を表しています。また、ウミネコは弁財天の使いとされており、幸福や豊かさをもたらす吉祥の鳥でもあります。

● 世界へとひろがる円(縁)

この絵に描かれた根は、画面の枠を超えてさらに大きな円(縁)へと繋がっていきます。それは、やがて地球を一周していくであろう、奥本氏のこれからの偉大な歩み(未来)を示唆しています。根が世界へ伸び、歩みが進むごとに、中央の木はさらに眩い輝きを放ち続けます。

◆タイトルの「常若」について

奥本氏と再びご縁をいただいたのは、伊勢神宮での企業奉納の折。「銀座 島ごころ」の出店を間近に控えた時期でした。 日本を代表する二つの舞台、そして奥本氏の「日本らしい絵がいい」という言葉の中に、大切なヒントが隠されていました。

銀座の面白さは、数百年の歴史を誇る老舗のすぐ傍らに、世界最先端のフラッグシップ店がごく自然に共存している点です。「今、最も一流で新しいもの」を引き寄せる強力な磁場でありながら、どれほどモダンに変貌しても「銀座らしさ」の本質は失われない。それは、この街の伝統と信頼が、強固に受け継がれているからでしょう。

神宮が式年遷宮を通じて、みずみずしく再生を繰り返すことで永遠を目指すように、銀座もまた、常に変わり続けることでそのアイデンティティを保っています。

核となる本質は守りながら、常に変化し、進化し続ける「常若」の精神。 それこそが「奥本隆三」という生き方であり、日本人らしい「和」の営みなのだと感じています。

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