2024-03-01

モノづくりビレッジ 8-10

~本当の意味で笑顔になれるまち~

  •  client:株式会社 キャステム
  •  2024年
  • F50号(116.7㎝×910㎝) 木パネル アクリル画

https://www.castem.co.jp/

便利さだけを追求した結果、人は本当に幸せになれるのか。

AIや最先端テクノロジーが行きわたったスマートシティとは別にある未来のかたちを探りたい。

戸田社長から構想をいただいたのは2023年3月のことでした。

その6月より同氏の頭と心にあるこのまちの姿を、紙の上に具現化する試みが始まりました。

取材として県外方々へヒントを求めておもむき、また参考になる書籍や映画をみながら山あり谷ありで進めること約半年。

明るくやさしい、未来がひろがっていくようなまちのすがたが現れました。

中心にある大木のモデルは樹齢1000年を超える屋久杉。

あらゆる困難を糧に若木と支え合いながらゆっくりと共生する屋久杉を、

1000年続いていく企業の象徴として中心に置きました。

自然と共存するこのまちは、一見のどかでありながら、一歩中に入れば、

最先端テクノロジーとワクワクするようなものづくりの楽しさがあふれています。

大人も子どもも、それぞれが夢中になれる居場所がどこかにある、そんなまちです。

人の手とテクノロジーが心地よいバランスで融合する、なつかしくてあたらしいモノづくりのまち、

それがビレッジ8-10(やまと)です。

この絵に込められている想いは、

かつて日本を支え発展させてくれた、日本のモノづくりの魂をキャステムスピリットとして引き継いでいく覚悟。

日本のモノづくりを牽引し、あたらしくよみがえらせる、という使命です。

※8-10…や・(間:ま)・と、と読ませる。8月10日は戸田社長の誕生日。またこの絵の輪郭はハート(810)形となっている。

※戸田社長は紙ヒコーキ 滞空時間ギネス記録保持者です。

■屋久杉のものがたり

ある森の中で小さな杉の芽が生れました。まわりを大木に囲まれた厳しい環境だったため、光も栄養も水も、この幼い木にはとどきませんでした。彼はそれでも300年あまりの歳月を生き抜きました。樹齢300年でも、その姿はか細く哀れなものでした。しかし、奇跡は突然に訪れました。周りの大木が倒れたことでついに光と栄養、水分がこの小さな杉に降り注がれたのです。今まで耐え抜いてきた彼を祝福しているかのようでした。

ふつうの杉の寿命は400年程度ですが、その杉の木は初めの300年、時間をかけて成長したことにより、内部がたいへん強靭になっていました。そのため樹齢700年まで生きることができました。その頃になるとさすがに寿命が近づき徐々に枯れはじめます。

しかし、おどろくべきことに、その杉に寄生していた他の木々が、本体が枯れることを防ぎました。すでに共生関係にあった木々が、本体の命を支えたのです。

時が流れ、こんどは共生してきた木々が次々と枯れはじめます。今度こそ寿命がきたと思いましたが、そうはなりませんでした。1000年の時の間にあたりの生命たちと深い共生状態に入っていたのです。

不恰好な姿になりながらも、誇り高く隆々とその杉は生き続けました。

※屋久島に生息する、樹齢1000年を超える杉は屋久杉と呼ばれます。
2000年以上生きた杉は縄文杉、1000年以下の杉は小杉と呼ばれます。

■日本のモノづくりと戦艦大和のものがたり

かつて、大海原に轟く巨大な戦艦、大和。その存在は日本の誇りであり、技術と工業の華々しい証でした。

第二次世界大戦の渦中、日本海軍は大和という名の戦艦を生み出しました。その建造には、国の最先端技術と熱意が注がれました。技術者や工業労働者たちは、最新の技術を駆使し、大和を築き上げました。彼らの手によって、日本のモノづくりの魂が込められた大和は、国の工業力の象徴となりました。

大和はただ巨大で強力なだけでなく、その建造の過程自体が日本の技術とモノづくりの偉業を物語っていました。戦後、日本は経済復興の道を歩み始め、世界にその存在感を示していきます。その過程で、大和の精神と伝統が受け継がれ、日本の製造業が発展する礎となりました。

このように、大和は単なる戦艦に留まらず、日本の技術と工業の象徴として歴史に名を刻んでいます。

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