ファンづくりは夢づくり
- client:株式会社 FanDay
- 2023年
- S25号(803㎜×803㎜) 木パネル アクリル画
- https://fanday.jp/
FanDayは、瀬戸内エリアの観光事業者や企業のファンづくりをサポートする会社です。
ファンづくりは中長期的なスパンで継続してとりくむもの。
木を育てることに似ていると思い、ものがたりを作りました。
夢のある絵にしあげるため、そのものがたりのワンシーンをビジョン画として描きました。
ファンとデイの夢の旅
楽しいことが大好きな「楽実(らみ)」のあだ名はファン。
ファンは決まりきった学校の勉強がとてもつまりませんでした。
授業中はいつも真っ青な空に浮かぶモコモコとした雲をみながら、
ワクワクする楽しい事を想像するのがとても好きでした。
ある日の学校からの帰り道、水たまりの中で、ちいさな虫が溺れていました。
よく見ると水色のてんとう虫です。ファンは「あなたとてもキレイね」と言いながら、
てんとう虫を指に乗せ、近くの木の枝にそっと返してあげました。
その日の夜、いつものように空と海の写真を眺め、満足して眠りにつくと、
どこからかファンを呼ぶ声が聞こえてきました。
「ファン、ファン、ねえ起きて」
ファンがおどろいて目を開けると、空色の車がこちらを向いてライトをチカチカさせていました。
「ぼくの名前はデイ、今日は助けてくれてありがとう。さあボクに乗って」
寝ぼけまなこで、眼をぱちぱちさせながら
「なんだか楽しそう!」考えるより動くのが先のファンは迷わずデイに飛び乗りました。
足元で寝ていた黒猫のヒットもついてきました。
デイはいきおいよく夜空に向かってかけだしました。
どんどん小さくなるファンの家。
初めて見る空からの夜景にうっとり。
ファンを乗せたデイはみるみる空にのぼります。
「さあ、しっかりつかまって!」ざぶん!分厚い雲の中につっこんでいくデイ。
雷の電気が周りを飛び交う暗い雲を突き進んでその雲を向けると、
眩しいくらいの青空の世界が広がっていました。
不思議な光景に目をうたがうファン。
そこでは背中にキラキラと楽しい木を生やしたカラフルな動物たちがゆったりと泳いでいるのでした。
周りには、クリオネたちが楽しそうにおしゃべりをしています。
よく見ると空の動物たちが目差しているのは旗をかかげた気球のような乗り物でした。
「なんてかわいいの!ねぇデイ、あそこへ連れて行って!」
慣れた調子でぐ~んとスピードを上げて、近くに車をとめるデイ。
すると突然オレンジの扉が開き、中から素敵なお姉さんが現れました。
手にコーヒーを持ったまま、あらよっと軽快にデイに飛び乗るお姉さん。
「ようこそ自由な発想の世界へ。ここはみんなが幸せになれる場所。
ねぇ、一緒にここを旅してみない?」といたずらっぽく笑顔をうかべました。
ここにいるのは海の世界で限られた餌を取り合うことをやめて、別の生きる道を見つけた動物たち。
動物たちは木の力によって空を飛び、木からの栄養で大きく成長することができるの。
でも木が大きくなるには宝石の輝きとクリオネの応援が必要なの。
宝石はみつけにくいから、FANDAYの女の子たちが手伝っている。
宝石をみつけたら今度はよく磨いて光らせるの。
そうするとクリオネたちが気づいてくれるのよ。
クリオネたちは、木が輝くほど増えてきて、やがて動物たちの成長を自分のことのように喜んで手伝ってくれるようになるの。
本物の木と同じで大きく育つには、長い時間が必要なのよ。
動物とクリオネたちは仲間であり運命共同体。家族みたいなものね。
デイに乗って、幸せそうな動物たちと楽しそうに歌を歌っているクリオネたちの間をくぐり抜けながら、お姉さんが話をしてくれます。
こんなにキラキラした大人の人初めて会ったな、とファンは思いました。
デイの下にはいつのまにか大きなマンタが寄りそっています。
ファンにはマンタがこちらを見てやさしく微笑んでいるように感じました。
「私ずっとここにいたいなあ」とファン。
「そうね、ファンが大人になったらもう一度ここにおいで」
お姉さんがにっこり微笑んでくれました。
次の瞬間、ファンは自分の部屋ベッドの上にいました。
足元を見るとヒットが知らん顔で寝ていました。
その日、また同じような学校の授業です。
でもファンの心は以前とは違ってワクワクでいっぱいでした。
夢が出来たのです。 雲の向こうを見ると、チラッと黄色いクジラが見えた気がしました。